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トピックス/TOPICS

身近なテーマを題材に、雑文を書いています。興味のある方はどうぞご覧下さい。


[バックナンバー]
2.浅間山の噴火はどうなるか

9月1日の防災の日、浅間山が噴火しました。噴火が夜の8時頃であったため、噴煙も見られず、報道関係ではNHK以外、あまり扱いが大きくはなく、翌日の朝日新聞などは気が付かないくらいに小さな扱いでした。一方、NHKは平成2年の噴火のあと、旧火山博物館の屋上にカメラを設置しており、そのカメラが夜の噴火の様子を捉えたのでした。翌日になって、噴石が4kmも飛んでいたことが分かるとすわ一大事とばかりに、ワイドショーを含め各マスコミが一斉に取材に入ります。やはり天下の浅間山だけのことはありますね。
さて、9月9日に火山噴火予知連の拡大幹事会が開かれ今回の噴火に対する見解が出されています。それによれば、
  • 2000(平成12)年以来、火山性地震や微動、火山ガス放出量が消長を繰り返しながら多い状態が続き、微小な噴火が発生するなど、火山活動はやや活発な状態が続いた。
  • 火口から北東へ4km離れた場所まで直径数〜8cmの噴石が到達している
  • 今回の噴火には高温のマグマが関与していた
  • 現在のところ、大規模な噴火が切迫していることを示す観測データはないが、高温のマグマが関与していることから、今後も爆発的噴火を繰り返す可能性は否定できない
ということです。とてもうれしい。じゃなくて、とても心配です。なぜなら、14日、15日にも小規模な噴火が生じており、この状況はしばらく続きそうだからです。では、浅間山は今後、どうなるのでしょうか。今のところ、考えられるシナリオは次のとおりです。
  1. このまま終息する(数週間〜数ヶ月?)
  2. 明治後期〜昭和40年代の活発な噴火活動に入る(いつまで続くか分からない)
  3. 天仁元年(1108)、天明三年(1783)クラスの噴火が数カ月以内に発生する
現在の浅間山の活動度レベルは3ないし2とされています。これは1983年の噴火と同じ規模で、小規模な火砕流の発生も予測されるため、条件次第では災害となることもあります。ただ、マグマが関与しているとは言え、火口底の著しい上昇も見られないことから、このまま終息する可能性もあるでしょう。動度レベル4は、大正〜昭和にかけて活発に活動を続けていたころのレベルです。爆発をともなう非常に激しい噴火活動であり、もし、今後、このレベルに達したら、激しい爆発音や噴石などで軽井沢周辺の別荘地は閑古鳥が鳴くようになるでしょう。また、空振で窓ガラスが割れたり、農作物への被害も甚大となるでしょう。長期的にはこのレベルの活動にはいる可能性は否定できません。むしろ1973〜現在まで静かすぎたとも言えるのです。最大のレベル5は天仁元年、天明三年の噴火であり、このクラスの噴火はおおむね600〜700年間隔で発生しているため、天明三年から220年しか経過していない現在、発生する可能性は非常に低いと言えます。しかし、絶対とは言えないのが自然現象であり、可能性がないわけではありません。ですから、浅間山の今後の動向には十分、注意が必要です。

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表1 浅間山の火山活動度レベル(気象庁HPより)
レベル 火山の状態 噴火の形態 事例 (活動履歴)
広範囲まで及ぶ大規模噴火が発生または可能性

遠方まで火砕流または溶岩流が到達して広域に影響するような大規模噴火が発生した。
または、上記のような噴火の可能性がある。
山麓まで噴出物が降下、溶岩流の流出、火砕流の発生の可能性がある。 ・天仁、天明の大噴火(山麓まで火砕流、岩屑なだれ)
山麓まで及ぶ中〜大規模噴火が発生または可能性

遠方まで噴石が飛散、あるいは火砕流または溶岩流など、居住地まで影響するような中〜大規模噴火が発生した。
または、上記のような噴火の可能性がある。
山頂火口から3km以遠、山麓まで噴出物降下、空振の影響の可能性がある。小規模の火砕流もあり得る。 ・1950年9月23日の噴火(火口から8km以上離れた場所に噴石)
・1973年の噴火
山頂火口で小〜中噴火が発生または可能性

小〜中規模噴火が発生した。
または
地震が群発したり、火映、鳴動が観測されるなど小〜中規模噴火の発生の可能性がある。
山頂火口から2〜3km程度以内まで、噴石を飛散したりごく小規模な火砕流を伴う噴火もあり得る。 ・1983年4月8日の噴火(空振で山麓のガラス等に被害)
・2000年9月、2002年6月の地震群発
・2004年9月の噴火
やや活発な火山活動

噴煙がやや多くなったり、火山性地震が時々多発、微動が発生するなど火山活動がやや活発である。
火山性ガスの顕著な放出や微小な噴火(火山灰の放出など)があり得る。 山頂火口付近に微量の火山灰の噴出もあり得る。 ・2002年5月以降の噴煙活動の活発化、火口の温度上昇
・1990、2003年の微噴火
静穏な火山活動

噴煙は比較的少なく、火山性地震の群発が時折発生するもののその規模は小さく、火山性微動の発生も少ない。
噴火可能性低い ・静穏な活動期のほとんど
長期間火山の活動の兆候なし

噴煙がなく、火山性地震・微動もほとんど発生しない。
噴火可能性なし  



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